【ホラー小説】お楽しみ会

 

眠れない夜に

 

 

 

 

 

 

第3夜【お楽しみ会】

お題協力mizujya様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼馴染のタロウとユウヤは2人の家の近所にある公園である計画をたてていた。

 

 

「タロウくん、お楽しみ会やらない?」

 

「お楽しみ会?いいね・・でも2人で?」

 

「いや、ケンちゃんも誘ったんだけどいいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タロウとユウヤ、それからクラスメイトだったケンジは

悪ガキトリオと呼ばれいつも学校の先生を困らせていた。

 

 

 

 

 

 

「え?ケンちゃんを誘ったの?ど・・どうやって?」

 

「夢枕で約束したんだ。」

 

「夢枕?」

 

「昔おばあちゃんから聞いたことあったんだ。夢の中ではね、死んだ人と生きている人が

お話しすることができるんだよ。夢で約束したんだ。今度の日曜日にケンちゃんの家でお楽しみ会をしようって。」

 

 

 

 

 

 

 

前にも3人はお楽しみ会をする約束をしていた。しかしその約束は果たせなかった。

 

 

 

当時新聞に小学生が車に跳ねられて亡くなってしまった痛ましい事件が

失ったものとは反対に小さく掲載された。

 

 

 

 

 

 

 

「今度こそ一緒にお楽しみ会をしようよ。

だからタロウくんもちゃんと来てね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し怖いけど、わかったよ。あの時も約束したもんね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜日になり2人はケンジの家へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユウヤくん、ケンちゃんのママになんて説明する?」

「・・・そうだね。夢の中で話しただなんて絶対信じてくれないよね。」

 

 

 

 

2人は道中にケンジと約束したことをどうやってケンジの母親に説明するか悩んでいた。

しかしまだ幼い2人には答えなんて見つけられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

《ピンポーン》

 

「はい。」

 

 

 

 

 

チャイムを鳴らすとケンジの母親が出てきた。

2人は母親の顔を見て驚いた。

 

 

美人で有名だったケンジの母親は、しばらく見ない間に

まるで別人のように老け込んでいたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ケ・・・ケンちゃんママ・・久しぶり。」

 

 

 

ユウヤがどもりながら挨拶をすると、2人の顔を見て

ケンジの母親も驚いた顔をした。

 

 

 

 

 

 

 

「2人とも本当に来てくれたんだね。」

 

 

「え?」「え?」

 

 

 

 

2人はまた驚いて顔を見合わせた。

ケンジの部屋へ繋がる廊下を歩きながらタロウは尋ねた。

 

 

 

 

 

 

「も・・もしかしてケンちゃんママ、ケンちゃんと話したの?」

 

 

「うん、話したよ。不思議なことって本当にあるのね。」

 

 

 

そう言うとケンジの母親の目から涙が流れた。

 

 

 

「あの頃が懐かしいわね。よく3人で遊んでたもんね。ケンジねあなた達のことをすっごく嬉しそうに話すのよ。

今日のお楽しみ会もとっても楽しみにしてたんだから。」

 

 

タロウとユウヤはそれを聞いてまた驚いたが

安心して笑みが溢れた。

 

 

 

 

「さあ、この部屋でケンジが待ってるよ、どうぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

タロウが扉を開けようとした時なぜかユウヤがタロウの手を掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ち・・・違う。そこにいるのはケンちゃんじゃない!!」

ユウヤはガタガタと震え始めた。

 

 

 

 

 

「何言ってるのユウヤくん?どういうこと?」

 

「帰ろう、僕らはここへ来てはいけなかったんだ。」

 

 

 

 

 

 

そう言うとタロウの手を掴んだままユウヤは玄関へ向かった。

 

 

 

 

 

 

「2人とも何処へ行くの?」

 

 

 

2人の前にケンジの母親が立ち塞がった。

 

 

 

「あの部屋にいるのは間違いなくケンジよ。お願いだから会ってあげて。」

 

 

 

 

 

 

あっけにとられるタロウをよそに、ユウヤは焦った声で言った。

 

「違う、ケンちゃんじゃない!!ケンちゃんじゃない!!

夢で話したケンちゃんはあんなじゃなかったんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ユウヤがそう言ったとき、背後からから声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユウヤくん、タロウくん久しぶり。よく来てくれたね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにいたのは2人が知ってるケンジではなく

身長は2人より遥かに高く、顔も声も何もかもがケンジとは違う大人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う・・ケンちゃんじゃ・・ケンちゃんじゃない。」

タロウも目の前に現れた人物に驚き、震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕はケンジだよ。久しぶり。あれからもう15年も経ったんだね。

見た目は変わったかもしれないけど、僕は2人の友達のケンジだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの日、2人が交通事故で亡くなって僕は毎日泣いていたんだ。

小学校を卒業しても、中学を卒業しても、高校を卒業して大人になっても

一度だって君達を忘れたことなんてないよ。」

 

 

 

 

 

 

ケンジが堪えきれず涙を流すと

タロウとユウヤもつられるように涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん、本当だ。ケンジくんだった。」

 

 

 

 

 

ユウヤの目からは次々に涙が溢れ出た。

 

 

 

 

 

 

 

「大人になったんだね。」

 

 

 

タロウが涙と鼻水でくしゃくしゃになった顔でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は来てくれてありがとう。さあお楽しみ会をしよう。」

 

ケンジはまるで幼い頃に戻ったかの様に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔の約束をようやく叶え、2人の魂は天国へ旅立った。